翌日。
大聖堂も修道院もたっぷり見学したし、今日はナザレで休憩しよう。大西洋を見ながらブラブラと歩き、砂浜の適当な場所に腰を下ろして、今持っている唯一の小説
『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいると、セニョール(おじさん)が近づいてきて
「ジャポネーザ?」と聞いてきた。
「Sim!『中国人?』と聞かないあなたはポルトガル人でしょ?」と答えると、セニョールは爆笑しながら
Sim!と答えて、
ずっとナザレにいるのか?これからどこに行く予定?学生かい?などと怒涛のように質問をする。
セニョールのポルトガル語が理解できることが嬉しくて律儀に質問に答えていると、セニョールも親切に
ポルトガルの観光名所や、
ポルトガルを北上してスペインに入り、そこから海辺の町に行ってみるといいよ、などと色々な事を教えてくれた。
親切なセニョールと別れてからも砂浜に陣取り、大西洋を眺めていた。
今日も空が青くて雲が流れるのが早いなあ、そのわりに海がいつもほど青くないのは水平線のあたりに霧みたいなものがかかっているからかな?あの霧がかかっている日は
夕日が水平線に沈む瞬間が見られないはず。残念だなあ。。。視線を感じて視線を水平線から砂浜に戻すと、少し離れたところにいる、真っ黒に日焼けをした顔に、いかにも長年潮風に吹かれてできたらしい、深い皺が刻まれた老セニョールがこちらを見ている。
こんにちは!と声をかけると
老セニョールも片手をあげて応じてくれたので近寄ってみた。
老セニョールの前には観光客向けのお土産用らしい
魚捕り網のミニチュアがいくつか並べてある。
平日の、私の他には観光客が見当たらない砂浜にミニチュアの投網を並べて終日海を眺めているんだ。・・・いいなあ、こういう生活。
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