海沿いの歩道に向かってなだらかに上りになっている砂浜の、波打ち際より一段高くなっているところに腰を下ろし、濡れた足を乾かした。
予想外に小さかった自分の足跡を眺めながら、
ついさっきまで眩しくてサングラスなしでは見られなかった太陽が、次第に裸眼でみられるくらいにおとなしい「夕日」に変わっていくのを見ていた。海に沈むと見せかけて、なかなか沈まないものだなあ・・・。
子供の頃読んだ本に
「大西洋に太陽が沈む時は『ジュッ』と音がする」って書いていたけれど、本当かな?太陽の遥か上空はまだブルーが残っていて、そこからだんだんと太陽に近づくにつれて空がピンクになっていくのが美しすぎて、背後で
『エサくれ〜』『エサくれ〜』とでも言いたげにみゃーみゃーと騒がしく鳴くウミネコたちが気にならなくなってきた。
音楽も流れていないし、周りには一緒に夕日を見ているヒッピーもいなくて一人ぼっちだけれど、
これはまぎれもなくチルアウトだ。このままいつまでも太陽が沈まなくてもいいのに、いやでもやっぱり聞きたいぞ『ジュッ』って音。。。などと考えていると、太陽の一番下の部分が海面に近づいてきた。
あともう少しだけ太陽が下がれば、『ジュッ』って音がするかも!!あと少し!!・・・と思ったのに、
あれ?まだ水平線に達していないのに、太陽が下から消えていく??水平線の少し上の方に、(ここから見ると)
10cmくらいの厚みがある霧だか雲だかがかかっていて、そのあたりだけがいやにぼやぼや〜っとしている。結局水平線に達する前に太陽はそのぼやぼやに飲み込まれて肉眼では見えなくなってしまい、大西洋に沈む夕日も見られなければ
『ジュッ』という音も聞けずじまいだった。残念。
でも途中までは一人チルアウトも満喫したし、まあいっか。
明日があるさ!海に向かって右手にはブロックの防波堤。
正面の砂浜は、既に夕闇にしのびよられて刻一刻と暗くなってきている。そして左手にそびえる険しい崖は、夕空のピンクににじんで見えている。地層がぼんやり見える崖の上には、ケーブルカーでないと上れないシティオ地区の白壁の家々。
目に入るもの全ての色味がものすごく淡くて優しい。
まるで水彩の風景画のよう。。。
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